弁護士への相談・弁護士から回答実例集

法的トラブルにについて、よくある事例を取り上げて、弁護士相談した際の回答例をご紹介します。

相談実例1:顧客からの過大な要求

相談実例2:患者からのハラスメントトラブル

相談実例3:退職した社員との残業代トラブル

相談実例4:SEO業者との契約解除トラブル

相談実例1:顧客からの過大な要求

【事例】

 従業員がグラスを倒してお客様の洋服を汚してしまいました。
すぐに謝罪しクリーニング代を払うと申し出するも、納得せずに新しい洋服を購入するための高額な費用を要求してきたのですが、支払う必要はあるのでしょうか?

【回答】

 本件で,飲食店が顧客に対し,法的に損害賠償責任を負う範囲は,クリーニング代あるいは中古品としての洋服の価格にとどまることが多いと考えられますので,法的には,「新しい洋服を購入するための高額な費用」を支払う必要はないことが多いと言えます。

 「モンスタークレーマー」の中には,従業員を怒鳴り続け他の顧客に迷惑を掛ける者や,従業員に土下座を強要する者もいます。前者であれば,脅迫罪(刑法222条)や恐喝罪(刑法249条),威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する余地がありますし,後者であれば強要罪(刑法223条)が成立する余地があります。

 また,その後連日に亘って,店を訪れ,クレームの電話をかけ続けるモンスタークレーマーも存在します。そのような場合には,面談禁止の仮処分や架電禁止の仮処分という民事上の法的措置をとることも可能です。

 いずれにせよ,早い段階から弁護士に相談することが肝要です。

相談実例2:患者からのハラスメントトラブル

【事例】

 診察順を守らない・暴言を吐く・看護師にセクハラを行うなど、モラルの低い患者からの迷惑行為に困っています。どのように対応したらよいでしょうか?

【回答】

 近時,このようなモラルの低い患者の問題行動が増えており,いわゆる「モンスターペイシェント」として社会問題となっています。エスカレートしたモンスターペイシェントによる傷害事件も少なくなく、殺人事件まで発生しています。
初動対応を誤ると問題行動がエスカレートし,病院職員のみならず他の患者にも迷惑が掛かる恐れがありますので,毅然とした初動対応が必要です。

暴言や暴行の内容によっては,脅迫罪(刑法222条)や暴行罪(刑法208条),傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があります。さらに,看護師に対するセクハラについては強制わいせつ罪(刑法176条)が成立する可能性があります。それらの行為に対しては,刑事上の法的措置のみならず,民事上の損害賠償請求をすることも可能です。
とりわけ病院においては,モンスターペイシェントによって病院内の規律や病院職員の注意力が乱された結果,他の患者の生命・身体に影響が出るおそれもあります。したがって,病院の場合には,一般的な会社・店舗に比べても,できるかぎり早期に専門家に相談することが重要となってきます。

相談実例3:退職した社員との残業代トラブル

【事例】

 繁忙期に有給休暇を取ったり、特に仕事もしないのに遅くまで会社に残り、ネットを見たり同僚とおしゃべりをしていた元従業員が労働基準監督署に駆け込み、高額の未払い残業代を請求してきました。どのように対応すればよろしいでしょうか?

【回答】

 勤怠管理に関する資料や当該社員の担当業務等に関する資料の内容にもよりますが,訴訟になれば,「勤務時間」と記録された労働時間に従った賃金の支払義務が生じる可能性があります。
 ただ,労働委員会のあっせんの下での協議による解決,裁判所の関与がある労働審判,通常の民事訴訟等,労働紛争解決手続にはさまざまなバリエーションがあります。そのため,専門家の助言のもと適切な方法を選ぶことにより,具体的妥当性を加味した上での早期かつ安価な解決を図れる可能性もありますので,専門家に依頼すべきです。
 特に,インターネットが一般化した現代社会においては,元従業員による風評被害も問題となっています。SNSや掲示板に元上司や会社を非難する文章を掲載するケースが多々見られます。そのようなケースでは,民事上の損害賠償請求・削除請求や名誉毀損罪(刑法230条)としての刑事告訴を検討すべきであり,そのためには弁護士への依頼が必須となります。また,同じ和解でも,弁護士が入るか否かによって,和解後の風評被害のおそれも変わってきます。
 労働分野は,人間関係が密接であり,感情的になりやすく,当事者同士の話し合いは難しい分野です。したがって,弁護士を入れる必要性,有用性が高い分野といえるでしょう。

相談実例4:SEO業者との契約解除トラブル

【事例】

 SEO対策契約をして3カ月が経っても、まったく上位表示されず具体的な説明も特にないため、契約を解除したいと伝えたところ、途中解約する場合は、違約金(契約期間中の未払金)を払えと言われました。支払う必要があるのでしょうか?

【回答】

 一般的にSEO対策契約等の役務提供型契約については,契約ごとに内容が千差万別であるため,本件における従前の事実関係(契約内容,受任者の債務の履行状況,解除の手続等)及び今後の当事者の対応(契約解除の手続,主張張方法,交渉内容)により,結論が変わり得る事案です。
 特に,契約に定められた業者の債務の内容,契約解除の条件,違約金支払いの合意の有無等の確認をすることが重要です。

 なお,悪質な業者に至っては,法外な違約金を設定し,「契約書に記載している」という一事をもって,執拗に法外な金額を請求してくることもあります。そのような請求をされた場合,弁護士に依頼すれば,債務不存在確認請求という民事上の手続きをとることが可能ですが,弁護士に依頼する前に根負けして支払ってしまう方も少なくありません。

 非専門家では,正確な事実把握は難しく,初動の如何によって結果が大きく変わる事案であると言えるため,早期に専門家に依頼することが有益です。

この記事の監修者

弁護士 香川 希理(かがわきり)

香川総合法律事務所代表弁護士。
マンション管理士・管理業務主任者等の資格を保有。
主な取扱分野は不動産関係、コンプライアンス関係(反社会的勢力対応、不当要求対応等)。
著書に「企業による暴力団排除の実践(商事法務)」、「民事介入暴力対策マニュアル第5版(ぎょうせい)」。

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