個人向けに留学等海外渡航支援事業を提供する顧問企業に対して、契約で定めていないサービスを求めてきたり、契約にない細かな報告を求めてきたりと再三のクレームを入れるお客様がおられました。
担当者が対応していましたが、全く納得せず、ただただ対応に時間がとられ、担当者が疲弊してきたため、当事務所に対応を依頼されました。
顧問企業の要望は、当該顧客との契約を解除し、今後互いに連絡をしないという約束を取って欲しいということでした。
本契約は、一定期間提供するサービスですから、まだその期間中であり、既に渡航済みでありました。つまり、当方が手を引くと、別途、渡航先での生活に影響が出る可能性があります。したがって、顧客からすれば、契約の解除は避けたいと考える可能性が高い状況でした。
また、契約書に定められている解除の理由に照らしてみると、当方からの解除が絶対に有効(訴訟で争われても問題ない)といえるかというと、微妙な部分もありました。
このような状況でしたので、慎重に契約解除の交渉をすすめることとなりました。場合によっては強気かつ大胆にすすめることもあり得るのでしょうが、本件はそれではうまくいかないと考えました。
顧客対応・悪質クレーマー対応は特に初動が大切です。「すぐに」対応することと、「しっかり」対応することです。本件でも、依頼があった当日に、まずはメールで相手方と接触し、相手方の要求には応じられないこと、進行中の手続は責任をもって終了させるがその後の対応はできないことを伝えました。
やはり、今後の処遇を心配しておられましたので、そこはしっかりと説明し、できる限り納得いただけるように努めました。詳細はお伝えできませんが、顧問企業様の目的を達成することができました。最初に連絡をしてから、約20日間での早期解決です。
顧客対応について
コンビニの店員の態度が気に入らないという理由で土下座を強要したという話が一時期話題になりましたが、これは当然不当なクレームです。問題は、そのような不当であることがわかりやすいものではない、悩ましいものです。そして、一見して、不当とは言えないクレームが圧倒的に多いでしょう。
クレームは、「苦情」という意味だと誤解されますが、実は英語では「苦情」という意味はなく、日本においても、クレームは問題点や改善点を指摘し何らかの要求をする、要するに「主張する」という意味です。ただちにネガティブなものではありません。
顧客のクレーム対応とは、顧客の「主張」への対応です。「苦情対応」と捉えると、対応する側も億劫になり、対応も雑になってしまいますし、対応した結果、お客様も信用も失くすという、最悪な結果になりかねません。
クレームを喜んで受け入れろというのは難しいでしょうが、正当な主張か悪質な主張かを見極めるまでは、正当な主張かもしれないと、真摯な対応をする必要があります。
企業として、対応の心構えの社員教育と対応マニュアルを作成することが必要です。もっとも、個々の状況に応じたきめ細やかな対応が求められますから、社員教育と対応マニュアルだけでは必ず限界があります。
また、悪質な主張、悪質クレーム対応となると話は別です。企業にとって、その対応はなんらの生産性もなく、サービス向上につながらず、従業員が疲弊するに過ぎません。
お客様からのクレームが一定数発生するサービスを提供されているのであれば、社員教育、対応マニュアル作成、初動対応方法など、どういった対応をするかということのご相談をお受けしております。
従業員が安心して働ける環境を作ることが大切であり、離職率も下がります。