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Build Future~離婚をしようと思ったら ②

Build Future~離婚をしようと思ったら ②

離婚後の収入について考えてみよう

前回のコラムでは、離婚とは新しい人生を歩き始めることだ、との前提のもと、離婚を考えるときは、離婚後の生活を考えてみよう、というお話をしました。
今回は、そのなかでも大切な、生活の基盤である生活費用について考えてみたいと思います。
離婚後の収入は大きく分けて、①給与②養育費③行政支援④資産とありますから、順番に考えてみましょう。

前回のコラムはこちら

まずは、①自分の給与について。

ほとんどの人にとって、離婚後の生活費の柱となるのが、自分が働いて得る対価となります。
今現在、定職を持ち、キャリアのある人は、今後も同じような収入を得られる可能性は高いですよね。
しかし、出産や育児で仕事をやめざるを得なかった場合、離婚後に仕事を探して高い収入を得るというのは、実は簡単ではありません。
厚生労働省の調査(平成23年)によると、ひとり親世帯の「稼働所得」(基本的に給与)は、全世帯平均の半分以下しかなく、児童のいる世帯(30代40代が多いはずですよね)の3分の1以下しかありません。これが、シングルマザー(もちろん、母親だけでなく、父親の場合もあります。)の(相対的)貧困率が世界でも突出して悪いといわれる我が国の酷い実態です。

このシングルマザーの収入や相対的貧困に関しては、自己責任論を唱える人もいますが、私はそうは思いません。子どもを育てるということは、社会の責任であるべきで、その責任を一個人に負わせるのはおかしいのではないでしょうか。
しかしながら、では、どうやって給与を高くするのかというと、簡単な解決策はありません。
同一労働・同一賃金とか、男女格差解消とか、非正規格差解消とか、そういった公平性を重視していくことが、解決策の一つとなると思います。
とはいえ、それではシングルマザーの収入について、不当に低い状態からの解消はできても、相対的に高くすることはできません。子育てにはお金がかかりますから、③行政支援として、税金の再配分を通じて、子育ては社会全体の責任であると考えるほかないのかもしれません。

次に、②養育費について。

離婚後に相手方からもらう子どものための費用を養育費と呼びます。この養育費は、まずは当事者間で合意を目指しますが、それができなければ、調停などの裁判所で決着をつけることになります。
法律的には、裁判所が発表している「算定表」に従って決められることがほとんどです。
例えば、自分の年収が200万円で、相手の年収が400万円であれば、子ども1人(14歳以下)の養育費としては月4万円をもらう、ということになります。
この算定表が妥当かどうかはさておくとして、さらなる問題は、養育費を払わない親が多いため、社会問題と化していることです。
少し前に、養育費不払いの場合にその氏名を公表するという条例が話題(物議?)となったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
2020年12月に、法務省が主催する「養育費不払い解消に向けた検討会議」の検討結果の取りまとめが出されています。
それを見ると、養育費を離婚時にきちんと取り決めることの促進(協議離婚時に養育費を取り決めないと離婚届が受理されないという制度も検討されたようです。これは継続審議となりましたが。)、新たな法整備による強制徴収の簡易化の検討、養育費不払いの場合の公的給付の検討、不払い者に対する社会的制裁の検討といったことを、幅広く国も検討しています。また、民事執行法改正など養育費を徴収しやすい制度を、今までも少しずつ作ってきています。
いずれ、これらの制度が実を結ぶ日がくると思われますが、現時点では、行方くらまして、就業先も不明な者からの養育費の強制徴収はできないと言わざるをえません。
養育費をきちんと取るためには、少なくとも離婚時の合意をしておくことは当然として、合意のやり方としても、不払いのあった場合に、強制執行をすぐできるようにするため、「公正証書」を作成しておくべきです。(なお、裁判所における手続きによって合意または決定がされた場合は改めて公正証書は不要となります。)。

③行政の支援

ひとり親に対しては、様々な行政支援があります。
児童手当のほか、児童扶養手当、それ以外に医療費助成、貸付制度等、自治体にもよりますが、様々な支援制度があり、各自治体のホームページにある程度詳しく記載されています。

④資産

資産の代表格と言えば、預貯金や保険です。
離婚時の慰謝料や財産分与は、給付を受けた後は預貯金となるでしょうし、学資保険などの保険積立も資産となります。また、年金分割という制度もあります。

結婚後、マンションなどの不動産を購入したけど離婚をする場合、不動産の所有権をどうするかを考えなくてはなりません。
不動産を財産分与でもらえれば、離婚後も転居が不要で、家賃も不要ですから、今後の人生設計がしやすくなることは間違いありません。
しかし、通常はそのような結論になりません。理由としては、住宅ローンが残っている場合には、不動産だけ渡すという結論になりにくいですし(仮にその状態でもらっても、ローン払わなくなったら銀行に取られてしまいます。)、住宅ローンより不動産の価値が大きい場合に、片方が不動産を取得すると、財産分与の考え方からすると、不動産取得の代償として、多額の現金を払う必要がでてきてしまうからです。
生命保険、とくに資産性の高い養老保険(学資保険)なども不動産と同じ問題が生じます。どちらが保険金を受け取るのか、今後どちらが保険料を負担するのか、代償金をいくらとするのか…

以上みてきたように、それぞれの項目に問題点や考えなくてはならないことがあります。
離婚を考えたら、まずは、専門家と相談をしてみませんか。離婚とは、新しい人生を考えることです。一緒に次の人生を考えてみましょう。

監修弁護士

平岡 将人

弁護士

弁護士法人サリュ前代表
第一東京弁護士会 所属 弁護士
第一東京弁護士会人権擁護委員会 所属
日本交通法学会 所属、経営法曹会議 所属

主な著書として
「虚像のトライアングル」(平成27年)
「適切な賠償額を勝ち取る 交通事故案件対応のベストプラクティス」(令和2年)

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