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弁護士への無料相談はどこまで無料? 準備や注意点など疑問点を解決

弁護士への無料相談はどこまで無料? 準備や注意点など疑問点を解決

弁護士への相談を検討する際に、「まずは無料相談をできる機会はないだろうか」と考える人も多いでしょう。しかし、いきなり無料相談に出向いても、時間制限などがあり、うまく伝えたいことを伝えきれないケースもあります。今回は、弁護士への無料相談を検討している人に向けて、無料相談のメリットや注意点、相談前に準備しておくべきポイントを解説します。

弁護士への「無料相談」はどこまで無料?

弁護士への無料相談を活用したいと思いつつ、「途中で料金が発生するのでは?」と不安を抱いている人もいるでしょう。まず、どのような依頼をした場合に弁護士費用がかかるのかを押さえておきましょう。

弁護士に支払う費用は、相談した場合にかかる法律相談料と、調停や訴訟を依頼した場合にかかる着手金・報酬金があります。この他、特殊な手続きを頼む場合は時間制で費用がかかったり、専門的な調査を頼む場合は実費負担が必要になったりします。

このうち、無料なのは法律相談料です。ただし、「無料相談は1時間まで」など時間制限を設けている弁護士事務所もあります。その場合には、無料の範囲についてはきちんと弁護士から説明があるはずです。

法律相談料が無料だとしても、相談後に調停や訴訟を弁護士に依頼するとしたら、着手金と報酬金がかかってきます。着手金とは、依頼した時点で支払う費用で、依頼が不成功だったとしても負担が発生します。一方報酬金は、訴訟に勝つ、示談で有利な解決を勝ち取るなど、依頼内容が全部又は一部達成された場合にのみその成功の程度に応じてかかる費用です。通常、経済的利益(弁護士に依頼したことにより実現した利益)を基準に、その何パーセントと予め契約することが少なくありません。

法律相談料については、多くの場合で「30分〇円」「1時間〇円」など、時間に応じて費用が設定されています。これに対して、着手金・報酬金は、訴訟の目的となる金額に対する割合で定められています。つまり、訴訟で争う金額が大きくなるほど、弁護士費用も高くなるということです。

弁護士に無料相談したいと考えるなら、時間制限には十分注意が必要です。また、相談と依頼とはきちんと分けて考えておく必要があります。


弁護士への無料相談を活用するメリット

続いて、トラブルに巻き込まれた際に弁護士への無料相談を活用するメリットを3つ紹介します。

● 第三者に話すことで冷静になれる

まず、相談するだけで頭がクリアになり、状況を整理できるというメリットがあります。当事者間で争っている時、人間は自分で思っている以上に冷静さを欠いているものです。第三者である弁護士に落ち着いて相談することで、考えがまとまるとともに、自分自身の認識も改めて見つめ直すことができます。

弁護士に無料相談するだけで、解決の糸口が見つかるようなトラブルもあります。

● 専門家のアドバイスを踏まえて行動できる

弁護士は法的トラブルに対処する専門家です。トラブルの本質がどこにあるかを見極め、適切なアドバイスをくれます。似たようなトラブルに接した経験や過去の裁判例などから 、今後どのような展開が待ち受けているか、訴訟になった場合に勝ち目があるかどうか、など専門家としての意見を述べてくれるケースもあるでしょう。

トラブルが起きると、「この対応で間違っていないだろうか?」と不安になるものです。不安はストレスを増大させます。弁護士に相談し、アドバイスを踏まえて行動することで、不安やストレスは大きく軽減されるでしょう。良心的な弁護士であれば、争うことや弁護士に委任することによる対費用効果も踏まえ、ベストな対応や選択肢を提示してくれます。

● トラブルに合った解決策を提案してくれる

法的トラブルの解決策というと、訴訟を思い浮かべがちですが、選択肢はそれだけではありません。少額の金銭の請求なら少額訴訟という手続きもありますし、離婚など親族間のトラブルならまずは調停を行うという選択肢もあります。

弁護士は、トラブルの本質や当事者の関係性等を踏まえたうえで、どのような解決策を選ぶべきか提案してくれます。プロからトラブルに応じた解決策を示してもらえることは、弁護士に無料相談する大きなメリットでしょう。

弁護士に無料相談する時の注意点

弁護士に相談することには多くのメリットがあります。しかし、無料相談はいわば弁護士にとっては営業の機会です。中には、意図的に相談者の不安心理に寄り添うことで訴訟の依頼に持ち込もうとする弁護士もいるかもしれません。

法律相談が無料でも、相手はボランティアとして取り組んでいるわけではありません。あくまで仕事として取り組んでいることに、十分配慮しておく方がいいでしょう。

また、ひとくちに弁護士といっても、事務所の規模や実績、専門分野はさまざまです。その中から、自分のトラブルに合った弁護士を探し当てるのは、かなり困難といわざるを得ないでしょう。普段、弁護士になじみがない人にとっては、どのような基準で弁護士を見極めればいいかわからないからです。

弁護士に無料相談する前に準備しておきたいこと

弁護士への無料相談を有意義な時間にするためには、事前準備が欠かせません。続いて、弁護士に無料相談する前の事前準備を3つの観点から解説します。

● 事前準備 1.相談内容の整理

弁護士への無料相談には、時間制限が設けられていることがあります。そうでなくても、重要なことを当日うっかり伝え忘れてしまうと、二度手間になってしまいます。必要なことをもらさず伝えるため、相談内容を事前に整理しておくことが大切です。

自分の状況、相手の言い分、自分や相手のバックグラウンド、自分が問題をどのように解決したいかなどをわかりやすくまとめておきましょう。文章にするより、箇条書きでコンパクトにまとめておいた方が、当日の話の流れに沿って臨機応変に補足説明ができます。

● 事前準備 2.当日の記録方法

せっかく弁護士に話を聞いてもらい、アドバイスを受けたとしても、その内容を忘れてしまっては意味がありません。メモ用紙や筆記用具を持参するのが望ましいでしょう。弁護士によっては、アドバイスや注意点を書いたメモのコピーをくれたり、別途書面を作成してくれたりします。

弁護士に無料相談していると、「〇年以内なら」「〇円ぐらいが相場」など金額に関する話が出てくることも少なくありません。記憶力に自信があり「このくらい覚えていられる」と考えていても、素直に記録に頼ることも大切です。

● 事前準備 3.証拠資料集め

弁護士に相談する際に、客観的事実を示せる証拠資料があるなら、できる限り持参するようにしましょう。たとえば、賃貸借契約書、日記、財産目録、遺言書、録音データ、動画データなどです。証拠があると、弁護士も事実関係を確認しやすいし、訴訟の際の戦術を想定しながら相談に乗ってもらえるので、より的確なアドバイスを受けられます。

無料相談できる弁護士の探し方

弁護士に無料相談したいと考えていても、どうやって相談先を探せばいいかわからない人も多いでしょう。続いて、無料相談の窓口を探す方法を5つ紹介します。

● 無料相談できる弁護士の探し方 1.市区町村

自治体は、住民のために法的トラブルに関する相談窓口を設けていることがあります。相談内容に応じて、弁護士はもちろん、司法書士や人権擁護委員など、さまざまな専門家へとつないでくれるケースもあります。

まずは、自分が住んでいる地域の自治体が法律相談を開催していないか、公式ホームページ等をチェックしてみましょう。対応が平日だけ、時間制限がある、弁護士の専門分野を選べないなど一定の制約があるケースが少なくありませんが、市町村が窓口になっているという安心感は大きいでしょう。

● 無料相談できる弁護士の探し方 2.弁護士会

弁護士団体である弁護士会は、多くの地域に存在しています。弁護士会の中には、無料相談を実施している団体も少なくありません。民事裁判や、離婚・相続などの親族トラブルなど、専門分野を持つ弁護士に相談できるケースもあります。

ただし、受付時間が1日のうち限られた時間だったり、実施される頻度が月に数回、1週間に数回だったりとバラツキがあるため、しっかり確認したうえで無料相談を活用すべきでしょう。また、そもそも無料相談のメニューがないケースもあります。

● 無料相談できる弁護士の探し方 3.法テラス

弁護士に無料相談したいと考えているなら、インターネット上で相談できる法テラスを活用するのも1つです。法テラスでは、法テラスと契約している弁護士や司法書士に、1つの問題につき3回まで無料相談ができます。なお、無料相談の時間は1回30分程度と定められています。

法テラスで無料相談を受けるには、収入基準と資産基準を満たしておく必要があります。事前予約は必須で、予約時に収入状況や資産状況、家族構成などを確認されます。

● 無料相談できる弁護士の探し方 4.インターネット検索

インターネットを使って自分で検索するという方法もあります。検索する際は、例えば「〇〇 弁護士 無料相談」など、解決したいトラブルをキーワードを使って検索すれば、そのトラブルに強みを持つ弁護士を探すことができるでしょう。

ただし、検索結果で上位表示されているからといって、必ずしも実績が保証されるわけではありません。信頼できる弁護士かどうか、自分でしっかり見極める必要があります。

● 無料相談できる弁護士の探し方 5.これまで、弁護士を利用した知人・友人に紹介してもらう

インターネットが発達し、またコロナ禍においてオンラインでのコミュニケーションが常態化した現在でも、一番確実な方法は、弁護士を利用した経験のある信頼できる知人・友人に弁護士を紹介してもらう、という探し方です。特に、信頼できる会社経営者や税理士、司法書士などの士業関係者なら、継続して相談・依頼をしている弁護士を複数知っていて、その弁護士の得意分野や性格、仕事ぶりをよく知っています。

紹介を受けた弁護士は、紹介者の手前、その期待を裏切らないようにとしっかり対応してくれます。なぜなら、弁護士の事件処理がうまく行かないとそのクレームは相談者・依頼者から紹介者に相談が行くので、細心の注意を払って対応することになるし、他方で自分の得意分野でない事件はあえて受けない、場合によっては適任の弁護士を紹介してくれるからです。

昔は、弁護士は、自分をアピールすることになる広告宣伝は禁止されていましたが、自由化の流れの中で広告が解禁され、今はネット上でたくさんの法律事務所・弁護士の広告に接することができます。しかし、それはあくまでも自己アピールであり、客観的な担保はありません。

その意味で、たまたま相談した弁護士に慌てて依頼するのではなく、複数の弁護士に会って相談してみて、人間的な相性も含めて、この弁護士ならという弁護士を選択するのが、後から後悔しないためには大事なことです。

いつでも弁護士に無料相談できる弁護士保険とは?

弁護士への無料相談を重視するなら、法的トラブルのリスクに備えるため、弁護士保険に加入するという手もあります。弁護士保険とは、離婚や相続、金銭トラブルなど法的トラブルが起きた時の弁護士費用を補償してくれる保険です。私生活上のトラブルに対応する個人型もあれば、事業上のトラブルに対応する事業型もあります。

弁護士保険の中には、弁護士への相談が無料サービスとして付帯している商品も少なくありません。こういった商品を契約しておけば、毎月少しの保険料を支払うだけで、いつでも信頼できる弁護士に相談できるという安心感があります。

人生は何が起きるかわからない――法的トラブルへの備えを

日常にひそむリスクは、死亡リスクや病気・ケガのリスクだけにとどまりません。金銭トラブル、近隣トラブル、パワハラ、いじめ、離婚、相続など、人生では意外と多くの法的トラブルに直面します。こういったトラブルに直面した時、弁護士保険があれば、安心して信頼できる弁護士に無料相談できるでしょう。

人生は何が起きるかわからないからこそ、何もないうちから備えをしておくことが大切です。


監修弁護士

原 和良 弁護士

弁護士

1995年4月 弁護士登録(東京弁護士会)
2007年 パートナーズ法律事務所設立
2012年 弁護士法人パートナーズ法律事務所設立
2018年 株式会社パートナーズ設立
一般社団法人弁護士業務研究所代表理事
東京中小企業家同友会理事

【主要著書】
『弁護士研修ノート』(レクシスエクシス・ジャパン社、2013年)
『弁護士経営ノート』(監修)
(レクシスエクシス・ジャパン社、2015年)
『明るい失敗』(クロスメディア・パブリッシング社、2017年)
『改定 弁護士研修ノート』(第一法規株式会社社、2019年)
『逆転勝利を呼ぶ弁護』(学陽書房、2020年)

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