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2025年9月オンラインカジノ規制法施行!~オンラインカジノと賭博罪の内容を踏まえて~

2025年9月オンラインカジノ規制法施行!~オンラインカジノと賭博罪の内容を踏まえて~

2025年は、芸能人やスポーツ選手がオンラインカジノを利用していたことが発覚し、賭博容疑で書類送検をされる、活動を自粛するといった報道が続きました。

そもそもオンラインカジノとはどのようなものなのでしょうか。また、オンラインカジノが該当する賭博罪、常習賭博罪の概要について確認していきます。

そして、本記事では2025(令和7)年9月25日から施行されるオンラインカジノ規制法(「ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律」)についても、紹介していきます。

オンラインカジノとは

カジノといえば、ルーレットやカードゲームに賭ける、といったことを思い浮かべるかと思います。
オンラインカジノは、カジノをオンライン化したもの、つまりオンライン上でゲームを行い、その結果に対して現金や暗号資産、電子マネーなどを賭けることが該当します。
また、ルーレットやカードゲームだけではなく、バカラ、スロット、パズルゲームのようなものや格闘技・スポーツなどの勝敗を競うものも含まれます。

オンラインカジノは、賭博罪や常習賭博罪になります!

日本国内でオンラインカジノをすることは、犯罪です。
賭博罪や常習賭博罪になります。
賭博罪(刑法第185条)が成立するには、2人以上の者が、①「偶然の勝敗」により②「財物や財産上の利益」③「得喪を争う」行為をすること、の3つの要件が必要と考えられています。

①「偶然の勝敗」

偶然の勝敗とは、勝敗が偶然性に左右されること、すなわち、当事者において確実に予見できず、または自由に支配し得ない状態によって勝敗が決まることをいいます。
スポーツのような技量や能力が勝敗に影響を与えるものであっても、偶然の事情により勝敗が決まる可能性があれば、「偶然の勝敗」にあたります。

②「財物や財産上の利益」(財物等)

財物や財産上の利益は、金銭に限らず、一定の財産的価値を有するものを指します。なお、「(食事や煙草といった)一時の娯楽に供する物を賭けたとき」は、賭博罪の成立が否定されています。

③(財物等の)「得喪を争う」

得喪を争うとは、勝者が財物等を得て、敗者がそれを失うことをいいます。つまり、賭博に参加する複数の者が、財物等を失うリスクを負っていることが必要となります。
他方、福引や懸賞なども、偶然により賞品の獲得を争いますが、参加者は、勝った場合に利益を得るだけであり、財物等を失うリスクを負っていないことから、この要件は充たさないとされています。

なお、常習賭博罪(刑法第186条)は、「常習として賭博をしたとき」とき に成立します。

賭博罪と常習賭博罪の刑罰は、次のとおりです。

・賭博罪:賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料
・常習賭博罪:常習として賭博をした者は、3年以下の拘禁刑

海外では、オンラインカジノを合法としている国や地域があり、そこでは合法的に運営されているオンラインカジノが存在しますが、日本国内から当該オンラインカジノにアクセスして賭博を行うことは、犯罪になります。

ちなみに、スポーツの振興に必要な資金を得ること、スポーツの振興に寄与すること等を目的とした法律(「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」)によりルールが定められているtotoやBIGといった「スポーツ振興くじ」は、合法です。

オンラインカジノ規制法が施行

2025(令和7)年9月25日から、オンラインカジノを含む違法オンラインギャンブル等を行う場を提供するウェブサイト又はプログラム(アプリ)を提示する行為や、違法オンラインギャンブル等に誘導する情報を発信する行為を禁止するオンラインカジノ規制法(「ギャンブル等依存症対策基本法の一部を改正する法律」)が施行されます。

禁止される行為は、次のようなことが該当します。
・ オンラインカジノサイトの開設・運営
・ オンラインカジノアプリのアプリストアへの掲載
・ SNSなどで、オンラインカジノのサイトのリンクを投稿したり、オンラインカジノサイトの宣伝や広告をしたりすること
(例:「○○カジノ 登録はこちら」、「××カジノ 日本語対応してます」など勧誘をすること)
・ オンラインカジノのサイトを紹介するまとめサイトを作ること
(例:「おすすめオンラインカジノ10選」などとうたい、オンラインカジノのサイトのリンクを貼り付けたサイトを作成すること)

以上の禁止行為に対する直接的な罰則規定は設けられていませんが、宣伝・広告をしたことにより、オンラインカジノに誘い入れることが賭博ほう助などの罪に問われる可能性は考えられます。

まとめ

近年は、オンラインカジノへのアクセスが増加しているといわれています。
オンラインカジノを合法であるtotoやBIGのようなものと勘違いをしたり、アプリゲームのような感覚で利用してしまう可能性があります。
また、アフィリエイト記事を作成している方がオンラインカジノの宣伝・広告をしてしまった場合、オンラインカジノ規制法に抵触してしまうといったことが想定されます。
自分はオンラインカジノには手を出すはずがない、と過信したり、オンラインカジノ規制法について知らなかったがために法律を犯すことがないよう、正しく理解しておきましょう。

◆参考ホームページURL
・政府広報オンラインHP:オンラインカジノによる賭博は犯罪です!広告・宣伝することも禁止に!
https://www.gov-online.go.jp/article/202411/entry-6786.html

・警視庁HP:オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html

監修弁護士

香川 希理 弁護士

弁護士

香川総合法律事務所 代表弁護士。
明治大学法学部、立教大学大学院法務研究科卒業後、2010年弁護士登録(東京弁護士会)、2013年香川総合法律事務所設立。企業法務を専門とし、上場企業から中小企業まで多種多様な企業の顧問をしている。主な役職としては、東京弁護士会マンション管理法律研究部、公益財団法人澤田経営道場企業法務講師など。主な著書としては「悪質クレーマー・反社会的勢力対応実務マニュアル」(民事法研究会)、「マンション管理の法律実務」(学陽書房)、「中小企業のための改正民法の使い方」(秀和システム)など。

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