事業活動を行っていると、売掛金や請負代金、貸付金、リース料、不動産賃料など、さまざまな債権回収をしなければならない場面が、日常的にあると思います。
中にはなかなか支払いをしない債務者もいるのではないでしょうか。
債権回収について、弁護士が役立つシーンにも触れながら、いくつかの場面に分けて解説したいと思います。
債務者との交渉
まず、債務者が約束通りに支払いをしない場合、電話をしたり、内容証明郵便などの書類を送付したり、債務者の事務所を訪問したりして交渉をするのだろうと思います。
債務者との話し合いの結果、合意に達したのであれば、必ず書面化しましょう。
ただし、ご自身で対応しようとするあまり、時間が経過し、時効にかかってしまった案件もしばしば見掛けます。
交渉自体は弁護士でなくてもできるかもしれませんが、弁護士は交渉のプロですので、弁護士に依頼することで交渉の手間から解放されます。
また、弁護士に交渉を依頼するまでに至らなかったとしても、交渉を開始するときや合意書を作成するという段階で弁護士に相談することで、担保の設定や執行証書という公正証書により合意書の作成など、しっかり回収するための方法を一緒に考えることができます。
満足な弁済を受けるために
次に担保を利用した回収についてですが、単に債務者に対して債権を有しているにとどまると、債務者が倒産するなど万が一の場合には、満足な弁済を受けられません。
そのため、債務者に対し連帯保証人などの人的担保、抵当権や譲渡担保権などの物的担保の徴求をすることが考えられます。
担保権を利用した回収を行う場合も、弁護士に相談することをお勧めします。例えば、事業のために債務者が負担した貸金等債務について保証人を付ける場合、民法上細かなルールが
多く定められており、これらのルールに違反すると保証契約が無効になってしまうこともあります。
また、あらかじめ担保権設定契約をしていなくとも、不動産の賃貸借や動産・不動産の売買など一定の債権については、先取特権という担保権が法律上当然に発生していることがあります。あきらめずに弁護士に相談すると、良いアドバイスを受けられるかもしれません。
訴訟提起、そして強制執行
さらに、債務者が任意の支払いに応じない場合には訴訟提起をし、裁判所で債権の存在が認められた後も支払わないのであれば、強制執行をしなければなりません。
しかし、訴訟提起をして強制執行をするまでには、1年以上の期間を要することも珍しくありません。経営状態の悪い債務者であれば、訴訟手続中に不動産を売却したり、預貯金を費消したりして財産が無くなる事例もあります。
そのような恐れがあるのであれば、不動産仮差押えなど民事保全手続を検討します。また、預金債権の仮差押をすると、債務者がその金融機関から借り入れをしている場合に借入金の一括返済を求められる(期限の利益が失われる)ことがあります。債務者はそれを非常に嫌がりますので、すんなり支払いをすることがあるかもしれません。
この手続きは、裁判所を利用した手続きであり専門性を要しますので、弁護士の介入が必要不可欠になってきます。
弁護士を上手く活用するために
訴訟提起をし、裁判所で債権の存在が認められた後も支払わないのであれば、強制執行をしなければなりません。
しかし、これらの手続きは、時間も費用も掛かります。このようなコストや時間のかかる手続きを取らずに債権回収ができるよう、初期段階での弁護士への相談をお勧めします。このほか、債権回収の場面において法律上の問題が生じる場面は様々あります。トラブルの初期段階において弁護士にご相談いただくことで、余分なコストをかけずに多くの債権回収ができる可能性が高まります。
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