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加害者と被害者、どちらにもならないために……知っておくべきSNSでの誹謗中傷についての知識

加害者と被害者、どちらにもならないために……知っておくべきSNSでの誹謗中傷についての知識

気軽に自分の意見を発信したり、様々な情報を拡散することもできるSNS。情報収集や友人・知人との交流にと頻繁に利用している人も多いでしょう。ただ便利な一方で「SNS上で誹謗中傷を受けた」という声を聞くことも少なくありません。2020年5月には「リアリティショー出演者の自殺の原因がSNS上の誹謗中傷ではないか」と問題になりました。

「自分がネットやSNS上で誹謗中傷を受けた」「自分が過去に発言した内容が誹謗中傷にあたるとされた」といったときは一体どうすればいいのでしょうか。自分がネットやSNS上で被害者もしくは加害者になったときの対応について考えてみましょう。

どのような発言が違法な誹謗中傷にあたるのか?

まずは「SNS上でどのような発言をしたら違法な誹謗中傷にあたるのか」を確認しておきましょう。違法な誹謗中傷にあたるとされるのは、その情報(発言)を第三者が見ることができるかどうかです。メッセージアプリなど1対1のやり取りで悪口を言われた場合は違法な誹謗中傷にはあたりません。しかし、多くの人が見ることができるSNSやサイトで悪口を書き込んだりした場合は違法な誹謗中傷とみなされる確率が高くなります。

また、以下のような内容が違法な誹謗中傷になるとされているため注意が必要です。

・特定の人物の信用を失墜させる内容
例)「〇さんは前科がある」「〇さんは会社のお金を横領した」など

・特定の人物を侮辱する内容
例)「〇さんは頭が悪い」「〇さんは嫌われている」など

これらの誹謗中傷は侮辱罪や名誉棄損にあたる可能性が高いため、SNS上で発信することは控えるべきです。
また、誹謗中傷ではなくても本人が希望していないのに今まで公開されていなかった個人情報(住所・電話番号・職歴・結婚離婚歴など)を第三者が公開することも問題になっています。こちらもプライバシー侵害として損害賠償請求対象になる可能性があります。

ネット上で誹謗中傷を受けた場合はどうすればいいか?

SNS上で誹謗中傷を受けた場合、どうすればいいのでしょうか。まずは、証拠を残すことが大切です。誹謗中傷が書かれた部分をスクリーンショットで保存しておきましょう。その中で発言した人が分かる部分があればそちらも保存が必要です。次に発言者本人やSNS・サイトの運営者に発言の削除依頼をします。各SNS,ブログ等のサイトには、問い合わせ用のメールフォームや、書き込み削除依頼専用のフォームがある場合がありますので、それらを用いることになります。

ただし、発言者本人に連絡を取る場合はさらなるトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。もし発言者が分からない場合はSNSやサイトの運営者に発信者情報開示請求を行うことをおすすめします。また、あまりにもひどい誹謗中傷の場合は訴訟などの法的な対応を検討する人もいるでしょう。しかし、発信者情報開示請求や訴訟などの法的対応は時間も費用もかかるため、個人で行うのはハードルが高いと言えます。

また、日常の仕事と両立して訴訟準備を行うことは非常に大変な作業になります。そのため、誹謗中傷を受けたときは自分だけで対応するのではなく、法律のプロ・弁護士に手助けしてもらうほうがいいでしょう。

自分が誹謗中傷してしまった場合

意図的ではなくとも「SNS上で他の人を誹謗中傷してしまった経験がある」という人もいるかもしれません。そのような場合はどうすればいいのでしょうか。もしその発言がSNS上に残っている場合は、即刻削除したほうがよいでしょう。発言が今以上に拡散することを防ぐことができます。また、できれば弁護士に相談し「発言が名誉棄損などにあたるか」「損害賠償を求められる可能性があるのか」について確認してもらうといいでしょう。

ただし、すでに誹謗中傷した相手が発信者情報開示請求などの手続きをしている可能性もあります。もし訴訟などに発展してしまった場合でも弁護士と対応について相談していれば非常に心強いのではないでしょうか。誹謗中傷してしまったことに気づいた時点で弁護士に協力を依頼することをおすすめします。

誹謗中傷問題が発生したら弁護士の力を借りよう

最近、有名人がネットやSNSで誹謗中傷されたことについて発信者情報開示請求を行ったり訴訟の準備をしていることがニュースになっています。そのため、一般の人たちにもSNSでの発言にリスクが伴うことが周知されてきているのではないでしょうか。もし「自分がネット・SNS上の誹謗中傷被害にあった」「誹謗中傷してしまった」という場合は、スムーズな解決のためにも迷わず弁護士に相談しましょう。

しかし、弁護士に相談したり問題解決を依頼したりすると、高額な料金がかかるのではないかと気になる人もいるでしょう。弁護士費用の負担が心配な人は、保険で備えることも手段の一つです。これは、毎月の保険料を支払っていれば弁護士に依頼したときの着手金などの費用が補償される保険です。なおネット上のトラブルだけでなく「夫婦間の問題」「子どものいじめ」などで対応を弁護士に依頼したときでも利用可能です。

また、弁護士費用保険では、正式に弁護士に依頼する前の電話相談やトラブル内容に応じた弁護士を探すサービスも無料で提供しています(1回の利用につき最大20分まで無料)。「依頼まではいかないかもしれないが専門家の意見を聞きたい」という場合にも利用可能です。「ネットやSNSをよく使うので誹謗中傷被害が怖い」「自分の発言で誰かを傷つけてしまう可能性があるので怖い」という人は保険で備えておくことも選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

監修弁護士

齊藤 宏和 弁護士

弁護士

弁護士法人親和法律事務所 パートナー弁護士
早稲田大学法学部卒業。関西学院法科大学院修了。
中小企業の法務顧問を務めつつ、経営上の課題解決に対してもアドバイスを行う。
特に、医療・介護特化の経営学修士を取得し、ヘルスケア分野に注力している。

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